キュン♡コスプレだらけの対話大会!〜恋がはじまる音がした〜

「服を着替えて対話してみるとか、どうだろう?」
駒場祭でのてつがくカフェ企画を考える会議で、メンバーの山村洋氏が口にしたひとこと。それを、去年行われた演劇を用いた対話企画に「“着る”というアイデアを一緒に組み込んでみたら」と、同じくメンバーの小林実可子氏がアイデアを出したことから、本企画は生まれた。

本企画は、略して「コスプレ対話」。演劇×哲学対話企画では恒例の「恋愛」をテーマにしつつ、男女がそれぞれ性別を入れ替えたコスプレをし、その立場で演じたり、対話したりする企画である。強制的に身体を変化させたら人は思考が変化するのか?どういった知覚や思考の変化が生じるのか?哲学対話における身体性を検証するといった、研究的テーマがふんだん盛り込まれた対話企画だ(と、私は信じている)。なお、今回は劇団「間」の俳優・原田亮氏にお手伝い頂いた。

では、実際にはどのような内容だったのか。構成としては、まずナンパをしてもらい、次に合コンをしてもらい、最後に自分自身の性別を入れ変えた状態で哲学対話をした。どうだろう、文章にするともうカオスだ。いや、実際も相当カオスであった。でも、それは今自分に現れている現実がゆらぎ、新な地平が生まれようとしていた結果だと思う。ただ、これだと飲み会と間違われかねないので、以下具体的に説明しよう。

①ナンパ
これはまず「役になる」ためのワークである。つまり、演技に親しんでもらうことが目的だ。ワークとしては、2人の役者にナンパがうまくいかない場面を演じてもらう。そこで、参加者からアドバイスをもらい、それを受けて演技を変更していく。慣れてきたら、参加者が役者と入れ替わって演技をしてもらった。

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②合コン
次は「ふるまい」のワークである。これは、身体表現を縛るということを目的としていた。まず、男女4名ずつ出てきてもらい、カードを引く。そこで指示された役柄(ex.セクシーな女性、すごく面倒くさい男性)にあったコスプレをしてもらい、その役の立場で合コンの場面を皆で演じるというものである。皆思い思いに衣装を身につけ(特に、男性の多くが果敢にもスカートに挑戦してくれ、中には香水をつけた人もいた)、悪戦苦闘しながらもその役を演じ、会場に笑いの渦に包まれた。

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③コスプレ哲学対話
最後、これが本企画のメインテーマである「思考/身体」のワークである。別の視点で発言する、思考するということを体験してもらうため、男女それぞれ自分とは違う性別になりきってもらい、「恋はいつはじまるのか?」という問いで哲学対話を行った。なお、今回は敢えて「男/女」という極端なカテゴリー、ヘテロセクシュアルの場面を設定したが、理由は「男性らしさ」「女性らしさ」(と呼ばれるもの)を纏った時に、どう自分の思考が変化するのか、見え方が変わるのか、振る舞いが変わるのか、それを体感しやすくするためであった。そして、その体験を通して感じた差異なり違和感なりを、最後の哲学対話において問いとして探求してもらいたかったからだ。最後の対話ではそうした違和感を持ち寄り、「恋の始まり」について大いに話に花を咲かせた。(もしかしたらその後、誰かの恋の花も咲いたかもしれない。)

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こうして大盛況に終わったコスプレ対話だが、いろいろ課題点もあった。特に、コスプレした立場で問いを探求すること。理由は、匿名の男性、女性をすぐに演じることが難しかったからだ。端的に言うと、キャラができていなかったからである。これは、当日役者として参加した原田氏と話して見えてきたことだが、男性的・女性的といった思考はなく、むしろ思考とはキャラクターであり、キャラクターの中に性別があるのではないか、という発見である。自分とは別の思考をするには、性別や職業といった属性の一部だけを得ただけでは難しく、キャラクターとして出来上がっているもの(ex. 不二子ちゃん、ジャイアン)でないとできない。しかも、それを“表現”として表にだしてもらうという縛りを効かせないと(=身体行為を縛る)、思考の変化を体感できないのである。これは反省であると共に、哲学対話に身体性を用いるためのヒントとして、大きな収穫にもなった。

このような企画を通して下さったUTCP、そして一緒に創りあげた小林実可子氏、原田亮氏、山村洋氏へ、感謝申し上げます。なによりご参加頂きました皆様へ、心からの感謝と御礼を申し上げます。

(松山侑生)

 

※転載元 http://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/blog/2015/03/post-754/