「カバンの中の記憶」という交響曲

photo by Ryo ICHII

company ma 第4回公演「カバンの中の記憶」は、皆さまのお陰で無事その幕を閉じることができました。観劇してくださったお客様、観劇は叶わぬとも応援してくださった皆さま、心より御礼申し上げます。

今回の公演は、テーマやキーワードを持ち寄って台本のないところから稽古過程の中で作っていくという手法で創造しました。指針になる台本がない作品づくりというのは正直なところ、至難の技です。作品に関わるすべての人の想像力と忍耐力を要します。その作業は一枚の絵を関わる人すべてで描きあげるようなものであり、一つの小説を集団で寄ってたかって書き上げるようなものであり、一つの交響曲をオーケストラ一人一人で作曲するようなものです。トランペット奏者、バイオリン奏者、フルート奏者などがそれぞれ勝手に作曲しては成立しません。それぞれがお互いを尊重し、自分の想像力をフルに使いつつもお互いの声に耳を傾け、最後の最後まで形が見えない創造作業に焦燥感や不安があってもそれに屈することなく、稽古場で誰一人声を荒げることなく、むしろ常に笑い声に溢れ、誰かの指示によって動くのではなく、それぞれがそれぞれに気づいたところを補っていく。むしろこれは奇跡に近い、創造作業です。それをこのキャスト、そしてスタッフでやり遂げました。開幕後は観客の皆さまと一緒に。手前味噌ですが、これは相当レベルの高い、集団的創造作業であり、それをできる面子が揃わない限り、絶対に成立しません。そうなんです、とんでもない面子が揃ったからこそ、実現できた公演なんです。最後の最後までアイデアを出し続け、最後の最後までお互いの声に耳を傾け、キャスト・スタッフ全員で作り上げた「カバンの中の記憶」。

まずはこの場を借りて、この無謀な企画に関わってくださったすべてのキャストそしてスタッフに感謝いたします。千秋楽には観客も舞台に上がり、一枚の絵を描きあげました。作品を一緒に作ってくださったすべての観客、そしてその実現を可能にした劇場に感謝致します。

まさに交響曲、交わり響く曲、シンフォニーを創れたのではとこっそり自負しつつ、再演を夢みております。

ブエノスアイレスにて

company ma 主宰

大谷賢治郎